不動産業界は目先の利益だけに惑わされ、「戦術あって戦略なし」といわれることが少なくない。つまり、長期的な戦略の上に立って戸別の戦術を練り上げていくのではなく、当面の売上げをいかに立てるのかといった戦術しか持っていないというわけである。しかも、その戦術たるや、強引な電話セールス、訪問販売といった手法がいまも根強い力を持っている。かつては、マンション専業大手でも、新入社員を椅子に縛りつけて、右手に電話の受話器をガムテープでくくりつけ、訪問販売へのOKをとらない限り深夜まで解放しないといった教育がまかり通っていたといわれる。それでその会社は急速に成長し、そこで育った社員がスピンアウトして多くの新興マンション分譲会社を立ち上げてきたのだから、それも当然の流れといえよう。というより、再び売れない時代に入って、そうした販売手法に回帰する動きすら一部にはみられる。それである程度の販売を進めることができるにしても、人材は育たないし、買ってくれた人たちも優良顧客にはなってくれない。不動産業界では、一度契約が成立した顧客から知り合いを紹介してもらい、そこから販売を広げていくのが重要な手法になっているが、強引な販売手法ではそんな期待はしにくい。しかも、時代はインターネットでの販売が主力となりつつある。大手のマンション分譲会社では、契約が成立した客の最初のコンタクトはインターネットであったというケースが半数を超えるほどになっている。そんな時代だけに、マンションの企画から販売まで戦略的に見直していく必要がある。
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